犬のアレルギーは食べ物が原因?仕組みや症状、対策を専門家が解説

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愛犬がよく体をかゆがるようになったり、涙が増えているのを見て、「もしかしてアレルギー?」と思いますよね。

そして、一番に頭に浮かぶのが「食べ物が原因かもしれない」ということではないでしょうか。

犬のアレルギーにはさまざまな種類がありますが、なかでも犬に多く見られるのが食物アレルギーです。

実際、私の愛犬の1匹も、生後7ヶ月で重度の食物アレルギーを発症しました。

アレルギーはどの犬でも起こる可能性があり、重症化させないためにも正しい知識を知っておくことが大切です。

そこで今回は、犬猫アレルギー管理アドバイザーの私が、犬の食物アレルギーの仕組みや気をつける食べ物、日頃からできる対策について解説します。

食べ物だけじゃない!犬の3大アレルギーについて知っておこう

アレルギーの原因として、多くの飼い主さんが考えるのが食べ物ですが、食べ物以外にもアレルギーを起こす原因はあります。

犬も人間同様にさまざまなアレルギーがありますが、特に注意が必要なのが日常的に直面しやすい「3大アレルギー」です。

犬の3大アレルギー

犬に多く見られるのは食物アレルギーですが、アトピー性皮膚炎との関係も深く、欧米の研究では食物アレルギーの犬の9〜50%がアトピー性皮膚炎を併発していたと報告されています。(※1)

そのため、食べ物に対してアレルギーを疑うような症状が見られても、アトピー性皮膚炎の可能性もあるため、自己判断せずに動物病院を受診することが大切です。

アレルギーを発症しやすい犬種

基本的にどの犬でもアレルギーを起こす可能性はありますが、遺伝的にアレルギーを発症しやすい犬種も存在します。

日本国内の報告では、以下の犬種が代表的な好発犬種としてあげられます。(※2)

  • 柴犬
  • フレンチ・ブルドッグ
  • ミニチュア・ダックスフンド
  • トイ・プードル

これらの犬種は、遺伝的に免疫バランスや皮膚バリア機能が弱い傾向にあります。

しかし、犬種だけで発症が決まるわけではありません。

生活環境や食事内容といった、後天的な要因も大きく関わっているため、「愛犬の犬種には当てはまらないから大丈夫」というわけではないのです。

犬の食物アレルギーが起こる仕組み

食物アレルギーとは、食材に含まれるタンパク質に対して、免疫システムが過剰に反応してしまうことで起こります。

犬には、体内に侵入してきたウイルスや病原菌、異常な細胞などの異物を排除する免疫システムが備わっています。

しかし、遺伝や体質、ストレス、生活環境、食事など何らかの理由で、通常であれば何の問題もないタンパク質を「異物(アレルゲン)」と誤認識して、攻撃対象にしてしまうのです。

また、人間では近年、腸内環境の乱れによって腸管バリア機能が低下することで未消化のタンパク質が体内に入り込みやすくなり、食物アレルギーを発症しやすくなるという報告もあります。(※3)

特に腸は免疫機能と深く関わる器官なので、消化状態や腸内環境の状態も食物アレルギーに関わる重要なポイントです。

犬の食物アレルギーはどんな食べ物でなる?どの食材でもなり得る

では、犬の食物アレルギーは何の食べ物でなるのかが気になるところでしょう。

「避けるべき食べ物は〇〇です!」とお伝えできれば良いのですが、残念ながらどの食材でも食物アレルギーになり得ます。

ここで、もう少し詳しく見ていきましょう。

タンパク質が含まれていない食材はない

犬の食物アレルギーの原因は食材に含まれるタンパク質ですが、タンパク質が含まれていない食材はオイル系を除くと存在しません。

そのため、肉や魚、小麦、野菜、果物など、どの食材であっても食物アレルギーを起こす可能性があるのです。

ただ、一般的に以下のような食材が犬に多いアレルゲンと報告されています。(※4)

ちなみに、私の愛犬の食物アレルギーは、ほぼすべての食べ物で起こり、食べられるのは乳製品と小麦とエンドウ豆だけです。

このように、どの食材のタンパク質をアレルゲンと認識するかは犬によって異なるため、特定の食材を避ければ大丈夫というわけではありません。

それまで大丈夫だった食べ物で急になることもある

食物アレルギーの厄介なところは、それまで問題なく食べられていたものに、ある日突然アレルギー反応を起こすこともあるところです。

同じ食べ物を長期間食べ続けたことで、免疫システムが徐々に反応しやすくなり、ある時点で症状が現れるということも珍しくありません。

実際、小麦タンパクの療法食を食べていた愛犬は、獣医師から「食べ続けることで小麦にアレルギーを起こすようになるから、次のタンパク質を探しておきましょう」と言われていましたよ。

また、加齢や体調の変化、腸内環境の乱れなどがきっかけになり、急に問題のなかった食材に反応してしまうこともあります。

そのため、「今まで平気だったから大丈夫だろう」と油断せず、日頃から体調の変化を観察してあげることが大切です。

犬の食物アレルギーの症状と受診の目安

食物アレルギーは皮膚のかゆみだけでなく、消化器にも症状が現れることがありますが、気づきにくいことも多いです。

早めに気づいてあげるためにも、犬の食物アレルギーの症状や発症のタイミングを知っておきましょう。

症状と発症時間

※実際に食物アレルギーで目の周りのかゆみや脱毛を起こした愛犬

犬の食物アレルギーでは、主に以下のような症状が見られます。

  • 目・口の周りの赤みやかゆみ、左右対称の脱毛
  • 肛門周囲、わきの下、背中、お腹などの赤みやかゆみ
  • 足先を執拗に舐めたりかじる
  • 耳のかゆみや臭い、耳垢が増える
  • 嘔吐
  • 下痢や軟便、便の回数が増える

症状の現れ方には個体差がありますが、愛犬が体を頻繁にかいたり舐めたりしているときは食物アレルギーを疑いましょう。

また、発症するタイミングは即時型と遅延型があり、食べてから30分〜数時間程度で症状が見られることもあれば、48時間程度経ってから症状が出ることもあります。

動物病院を受診する目安

基本的には、愛犬に食物アレルギーが疑われる場合は早めに動物病院を受診しましょう。

とはいえ、すぐに症状が治まった場合や便の回数が増えただけだと、食物アレルギーを発症していると気づかないことも珍しくありません。

そこで、以下に動物病院を受診する目安をまとめてみました。

これらの症状は、食物アレルギー以外の病気が原因となっている場合もあるため、自己判断せず獣医師の診察を受けることが大切です。

犬の食物アレルギーの対策は?飼い主さんができる7つの対処法

犬の食物アレルギーは絶対に防げるというものではありませんが、日々の食事管理によって発症リスクを抑えられる場合もあります。

①初めて与えるものは少量から試す

新しいフードやおやつを与えるときは、少量から試してアレルギー反応を起こさないか様子を見てあげましょう。

また、新しいフードに切り替えるときは、今までのフードに新しいフードを1割ずつ混ぜ、10日ほどかけてゆっくりと移行してあげることも大切です。

急なフードの切り替えは、腸内細菌や消化酵素などの働きが追いつかず、下痢や嘔吐の原因になります。

食物アレルギーで症状が出ているのか、急な切り替えが原因なのか判断が難しくなるため、切り替え時にも配慮してあげてくださいね。

②原材料が明確なフードを選ぶ

食物アレルギーに配慮するなら、原材料が明確に表示されているフードを選ぶことが大切です。

たとえば、「肉類」や「ミートミール」などの表記の場合、何の肉を使用しているか分かりませんよね。

原材料が明確に記載されているフードを選ぶことで、食物アレルギーを発症したときにアレルゲンを特定しやすくなります。

また、すでに愛犬に食物アレルギーがある場合では、アレルゲンを避けることに役立つでしょう。

③消化しやすいフードを選ぶ

食物アレルギー対策だけでなく、腸内環境の健康を保つ意味でも、消化しやすいフードを選んであげましょう。

消化しやすい食事は、腸の負担を軽減するだけでなく、腸内細菌叢(腸内環境)や免疫機能を健康に保つサポートになると考えられています。(※5)

逆に消化に負担がかかる食事が続くと、腸内環境が乱れてバリア機能が低下し、アレルギーの発症や症状の悪化を招くリスクがあるため注意が必要です。

また、本来ならアミノ酸まで分解されるはずのタンパク質が、消化不十分な状態で腸に届くと、免疫システムがそれを異物と認識して攻撃してしまうこともあります。

愛犬の免疫システムを過剰に刺激させないためにも、消化しやすいフードを選んであげることが大切です。

④質の低い原材料や人工添加物を避ける

質の低い原材料や人工添加物を多く含むフードは、消化や腸内環境に負担をかけるため、避けた方が安心です。

特に人工添加物の中には、長期間にわたって摂取することで、腸内環境や消化機能にマイナスの影響を与える可能性があるものもあります。

腸内環境と食物アレルギーは密接に関係しているため、愛犬のためにも避けておきましょう。

⑤酸化したフードは与えない

開封してから1ヶ月以上経っているフードは、与えないようにしましょう。

ドライフードは開封後、空気に触れることで徐々に酸化が進みますが、時間が経つことでフードに含まれる脂質が有害物質に変化します。

酸化したフードは風味や栄養価が損なわれるだけでなく、消化機能を含むからだ全体に悪い影響を与えるため、開封後は1ヶ月以内に使い切ることが大切です。

⑥口腔ケアにも気を配る

食物アレルギー対策では、口腔ケアも重要なポイントです。

歯周病とアレルギーは一見関係がないように思えますが、どちらも免疫の過剰反応によって炎症が引き起こされるという共通点があります

また、人間の研究ですが、歯周病の原因となる細菌が、アレルギー反応を誘発したり悪化させることも分かっているため、愛犬の口腔ケアをしっかり行いましょう。(※6)

⑦フードローテーションを取り入れる

食物アレルギー対策のひとつとして、主原料が異なるタンパク源を定期的に切り替えるフードローテーションという方法もあります。

特定のタンパク源に偏ると、食物アレルギーを発症するリスクが高まりやすくなります。

そのため、日々さまざまなタンパク源を摂ることを意識してみましょう。

ちなみに私は愛犬たちに、朝は鶏肉、昼はラム肉、夜は豚肉というように、1日の中でフードローテーションを行っていますよ。

ただし、すでに食物アレルギーが疑われる場合やお腹が弱い犬では、かえって症状を悪化させてしまったり、お腹に負担をかけてしまうこともあるため、愛犬の状態に合わせて判断することが大切です。

犬の食物アレルギーで気を付けること

犬の食物アレルギーでは、気をつけなければいけないこともあります。

ここでは、特に注意したいポイントをまとめてみました。

自己判断しない

食物アレルギーはすべての犬に起こる可能性があるものですが、かゆみや下痢が見られたからといって、「食物アレルギーだ」と自己判断するのはやめましょう。

同じような症状が見られる病気はさまざまあり、決めつけてしまうことは危険です。

飼い主さんが判断できるものではないため、必ず獣医師の診察を受けてくださいね。

間違った食事制限をしない

一般的に言われている犬が食物アレルギーを起こしやすい食材を、リスクを避けたいからと制限することはおすすめできません。

どの食材でアレルギーを起こすかは、犬によって異なります。

必要以上に制限してしまうことで、栄養バランスの乱れをおこしてしまうこともあるため、食物アレルギーが心配な場合は獣医師に相談しましょう。

おやつやトッピングにも配慮する

普段の食事だけでなく、おやつやトッピングの原材料や消化のしやすさにも配慮しましょう。

日常的に与えているものを把握しておくことで、愛犬の体調に変化があったときに原因を見つけやすくなりますよ。

獣医師と連携する

愛犬の体調に不安がある場合やアレルギー症状が見られるときは、早めに獣医師に相談しましょう。

獣医師と連携することで、無理のない食事管理や病気の予防につながりやすくなります。

犬の食物アレルギーを正しく知ることが一番の対策

犬の食物アレルギーは特別な病気ではなく、どの犬にでも起こり得るものです。

日頃から食事や体調の変化に気を配ることで、早期発見や早期対応につなげることができるでしょう。

食物アレルギーは、予防できるものではありません。

だからこそ、正しく理解することが一番の対策なのです。

<参考文献>

※1:pubmed「Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (3): prevalence of cutaneous adverse food reactions in dogs and cats」

※2:麻布獣医学会「犬のアトピー性皮膚炎の遺伝子解析」

※3:Pediatric Allergy and Immunology「Intestinal barrier dysfunction and food allergy」

※4:BMC Veterinary Research「Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (2): common food allergen sources in dogs and cats」

※5:MDPI「Dietary Modulation of the Gut Microbiota in Dogs and Cats and Its Role in Disease Management」

※6:pubmed「Cytokines in gingivitis and periodontitis: from pathogenesis to therapeutic targets」